三島中洲みしまちゅうしゅうは、天保元てんぽうがん（１８３０）年ねん、今いまの倉敷市中島くらしきしなかしまに生うまれました。
　１１歳さいから学問がくもんを志こころざしし、１４歳さいで備中松山藩びっちゅうまつやまはんの山田方谷やまだほうこくの私塾「牛麓舎しじゅく　ぎゅうろくしゃ」に入はいり陽明学ようめいがくを学まなびました。１９歳さいのとき塾長じゅくちょうとなると、備中松山藩びっちゅうまつやまはんの元締、吟味役もとじめ　ぎんみやくとなり、藩はんの仕事で多忙しごと　たぼうな方谷ほうこくにかわり、塾じゅくで学ぶ人まな　ひとたちのしつけ係がかりとなりました。
　２３歳さいのときに津藩つはん（今いまの三重県津市みえけんつし）の儒学者じゅがくしゃの斎藤拙堂さいとうせつどうに詩文や文学しぶん　　ぶんがくを、漢学者かんがくしゃの石川竹厓いしかわちくがいから経学けいがくを学まなぶと、安政あんせい３（１８５６）年ねん３月がつに伊勢を去いせ　さり、翌年備中松山藩よくねんびっちゅうまつやまはんの藩士はんしとなりました。
　２８歳さいで江戸えどに行いき、翌年よくねんに昌平黌しょうへいこうに入はいり佐藤一斎さとういっさいに学まなぶと、翌年帰郷よくねんききょうし、３０歳さいのときに山田方谷やまだほうこくの薦すすめで備中松山藩びっちゅうまつやまはんに仕つかえて藩学有終館はんがくゆうしゅうかんの会頭かいとうになり、その後学頭（校長ごがくとう　こうちょう）に進すすみ、有終館学制改革ゆうしゅうかんがくせいかいかくなどを行おこないました。
　藩主はんしゅの板倉勝静いたくらかつきよが幕府ばくふの老中ろうじゅうとなり、その顧問こもんとして激動の幕末げきどう　ばくまつを乗り越の　こえました。
　慶応けいおう４（１８６８）年ねんの戊辰戦争ぼしんせんそうの際さい、朝廷ちょうていのとがめを受うけて松山藩まつやまはんが岡山藩おかやまはんなどに征討せいとうされたとき、方谷ほうこくらとともに尽力じんりょくして藩はんの存続に貢献そんぞく　こうけんしました。
　明治維新後めいじいしんごは新政府しんせいふの命令めいれいで上京じょうきょうし、新治裁判所長にいはりさいばんちょうや大審院判事だいしんいんはんじを務つとめましたが、明治めいじ１０（１８７７）年ねんに大審院判事だいしんいんはんじが廃官となり退官はいかん　　　たいかんしました。
　明治初期めいじしょきのこの頃ころから西洋の学問せいよう　がくもんが急激に流行きゅうげき　りゅうこうしましたが、中洲ちゅうしゅうは人ひとの心こころを鍛える上きた　　うえで東洋とうようの道徳学問どうとくがくもんの重要性じゅうようせいを強つよく認識にんしきしており、明治めいじ１０（１８７７）年ねんに漢学塾かんがくしゃの二松學舍にしょうがくしゃ（今いまの二松學舍大学にしょうがくしゃだいがく）をつくり、多おおくの子弟していを育成いくせいし、漢学かんがく・東洋学とうようがくの発展はってんや民法成立みんぽうせいりつに力ちからを尽つくしました。