津田白印つだはくいんは、文久ぶんきゅう２（１８６２）年ねん、笠岡かさおかの浄土真宗浄心寺じょうどしんしゅうじょうしんじの住職じゅうしょくの次男じなんとして生うまれました。
　明治めいじ１３（１８８０）年ねん、福岡県ふくおかけんにあった浄土真宗じょうどしんしゅうの学校がっこう・乗桂校じょうけいこうに入学にゅうがくし、東洋円月とうようえんげつの弟子でしとなりました。乗桂校じょうけいこうでは、仏教ぶっきょうや漢学かんがくだけでなく、「慈悲じひの心こころ」も学まなびました。
　また、大分県おおいたけんの西光寺せいこうじでさらに学業をがくぎょう重かさねるかたわら、佐賀蓮池藩さがはすいけはんのお抱かかえ絵師えしだった成冨椿屋なりどみちんおくに弟子入でしいりして、画家がかとしての基礎きそも身みにつけ、優すぐれた花卉図かきずや山水画さんすいがを多数残たすうのこしました。
　３０才さいのときに、奈良監獄ならかんごく（刑務所けいむしょ）の教誨師きょうかいし（よい考かんがえを教おしえる人ひと）となりましたが、刑務所けいむしょに入はいっている少年しょうねんに教おしえを説とくうちに、罰ばっすることよりも、保護ほごの手を差て　さしのべることの必要性ひつようせいを強つよく感かんじました。
　明治めいじ３３（１９００）年ねん、笠岡町富岡かさおかちょうとみおかの本林寺内ほんりんじないに「甘露育児院かんろいくじいん」をつくり、身寄みよりのない孤児こじを保護ほごし、その養育よういく・教育きょういくを始はじめました。明治めいじ３９（１９０６）年ねん、東北地方とうほくちほうが大飢饉だいききんになったときには１０８人にんもの孤児こじを救済きゅうさいしています。
　また、大正たいしょう１２（１９２３）年ねんには、学校がっこうに行いきにくい女子じょしの教育きょういくを充実じゅうじつするため、私立淳和女学校しりつじゅんなじょがっこう（今いまの岡山龍谷高等学校おかやまりゅうこくこうとうがっこう）をつくり校長こうちょうとなり、女子教育じょしきょういくの振興しんこうに貢献こうけんしました。
　これらの事業じぎょうをおこなっていく上うえで、経営けいえいの危機ききに直面ちょくめんした時ときには、自みずからの書画しょがを売うって運営資金うんえいしきんを集あつめたことはよく知しられています。