「千歳楽せんざいらく」とは、内部ないぶに縦置たておきの太鼓たいこを置おき、布団ふとんを重かさねてその屋根やねとした、瀬戸内せとうち一円いちえんに分布ぶんぷする山車だしの一種いっしゅで、岡山県南部おかやまけんなんぶでの共通きょうつうする呼称こしょうです。布団ふとんの数かずは、１枚まいから９枚まいまでさまざまで、狭間はざまには、彫刻ちょうこくがあるものもあります。千歳楽せんざいらくの特徴とくちょうは、太鼓たいこと布団ふとんです。布団ふとんは、元々もともと庶民しょみんには簡単かんたんに手てに入はいるものでなく、高価こうかなものでした。このため、人々ひとびとが憧あこがれた布団ふとんが神かみの供回りともまわりとして使つかわれたと伝つたえられています。
　千歳楽せんざいらくの布団ふとん部分ぶぶんは、もともとは竹篭たかかごに紙かみをはったものでしたが、近年きんねんは、発砲はっぽうスチロール製せいが一般的いっぱんてきです。布団ふとんは、玉島たましまでは５枚まい布団ふとんが一般的いっぱんてきであり、その他ほかの地区ちくでは３枚まい布団ふとんの割合わりあいが多おおいようです。道中どうちゅうで歌うたわれる歌うたとしては、主しゅとして「伊勢唄いせうた」・「千歳楽の唄せんざいらくのうた」の２種しゅが歌うたわれることが多おおく、「伊勢唄いせうた」は、江戸時代後期えどじだいこうきのお伊勢参いせまいりの流行りゅうこうにともなって全国各地ぜんこくかくちに広ひろまった伊勢音頭いせおんどの一種いっしゅとされています。
　「千歳楽の唄せんざいらくのうた」は、連島西の浦つらじまにしのうらの薬師院やくしいんにいた鶴崎検校が「伊勢唄いせうた」をくずして作つくったものと伝つたえられ、水島みずしまを中心ちゅうしんとして、西にしは浅口市あさくちし一帯いったい、東ひがしは早島はやしま周辺しゅうへんまで伝播でんぱんしています。これらの唄うたを歌うたいながら、歌うたのテンポに調和ちょうわした千歳楽せんざいらくが町中まちじゅうを練ねり歩あるきます。