「初堰祭はつぜきさい」は、安徳天皇寿永あんとくてんのうじゅえい元年がんねん（１１８２年ねん）に備中国妹尾郷びっちゅうせのうごう（岡山市妹尾おかやましせのう）の武将ぶしょう、妹尾兼康せのおかねやすが自分じぶんの領地りょうちに水みずを引ひくために、総社市井尻野六本柳そうじゃしいじりのろっぽんやなぎにあった高梁川たかはしがわの堰せきを５００ｍめーとるほど上流じょうりゅうの湛井たたいに移うつし、樋門ひもんを設もうけ、湛井たたいから岡山おかやまの大福おおふくまで約十八やくじゅうはちキロメートルの農業用水路のうぎょうようすいろを完成かんせいさせたことを記念きねんしての行事ぎょうじです。現在げんざいは湛井十二カ郷用水たたいじゅうにかごうようすいの名前なまえで親したしまれており、総社そうじゃから児島湖こじまこに至いたる約やく５０００ヘクタールの水田すいでんを灌漑かんがいする日本にほんで有数ゆうすうの農業用水路のうぎょうようすいろです。難工事なんこうじであった堰せきと用水路ようすいろの完成かんせいに感謝かんしゃして、妹尾兼康せのおかねやすは、既すでに存在そんざいしていた井神社いじんじゃの宮地みやちを湛井堰たたいぜきの近ちかくに定さだめ、新あたらしい社殿しゃでんを造営ぞうえいし、神社じんじゃの祭典さいてん、維持管理いじかんりにいたる細こまかな掟おきてを残のこしました。これにより、井神社いじんじゃの氏子うじこは、地元氏子じもとうじこの外そとに、農業用水のうぎょうようすいを利用りようする氏子うじこ「水氏子みずうじこ」で構成こうせいされています。妹尾兼康せのおかねやすの偉業いぎょうを讃たたえ、恩恵に感謝かんしゃして、井神社いじんじゃに兼康かねやすを祭神さいじんとする兼康かねやす神社じんじゃが合あせまつるようになりました。この偉業いぎょうにより毎年まいとし６月がつ１日にちには水氏子関係者うじこかんけいしゃによる「初堰祭はつぜきさい」を行おこない、豊ゆたかな水みずの恵めぐみ、五穀豊穣ごこくほうじょう、家内安全かないあんぜんを祈願きがんした後あとに高梁川たかはしがわから取水しゅすいを始はじめています。