「吉備神楽きびかぐら」は、浅口市金光町佐方地区あさくちしこんこうちょうさがたちくに伝つたわるもので、浅口市無形民俗文化財あさくちしむけいみんぞくぶんかざいに指定していされています。佐方地区さがたちくにある戸神社とのじんじゃや八幡神社やはたじんじゃと荒神社こうじんじゃの秋祭あきまつり、正月しょうがつなどの祭礼行事さいれいぎょうじとして神社じんじゃに奉納ほうのうされます。
　始はじまりは、江戸時代えどじだいの文化年間ぶんかねんかん（１８０４～１８１８年ねん）に小田郡走出村おだぐんはしりでむらから浅口郡佐方村あさくちぐんさがたむらに伝つたわります。その際さいに笠原家かさはらけなどが神楽一社かぐらいっしゃを成なし、各荒神社かくこうじんじゃなどに奉納ほうのうしました。その後ご、笠原家かさはらけが代々継承だいだいけいしょうし、戦時中一時中断せんじちゅういちじちゅうだんもありましたが、昭和しょうわ２９年ねん（１９５４年ねん）に後援こうえんの有志ゆうしが復興ふっこうに努力どりょくし、伝来でんらいの舞まいを継承けいしょうしました。
　荒神こうじん神楽かぐらは、集落単位しゅうらくたんいの荒神祭こうじんじゃで、５年ねんまたは６年ねんごとの式年祭しきねんさいに盛大そうだいに行おこなわれます。白蓋びゃっかい神事しんじ、荒神こうじん御崎みさきの舞まい、神代神楽じんだいかぐら（岩戸開いわとびらき・国譲くにゆずりくにゆずり・大蛇退治おろちたいじ）を演えんじますが、荒神神楽こうじんかぐらの演目えんもくに加くわえて独自どくじの神楽かぐらに仕上しあげています。備中神楽びっちゅうかぐらとストーリーは変かわりませんが、太鼓たいこの叩たたき方かたは、舞まい出でる命みことによってすべて異ことなるなど「吉備神楽きびかぐら」独特どくとくの叩たたき方かたをします。
　この地域ちいきで神楽社じんじゃしゃを形成けいせいし、江戸期えどきから現在げんざいまで続つづいていることは、地域ちいきの民俗芸能みんぞくげいのうの継承けいしょうや振興しんこうに寄与きよしている点てんは貴重きちょうな存在そんざいです。