備讃瀬戸びさんせとの海に面した下津井しもついは、昔から瀬戸内せとうちの軍事ぐんじ、海運かいうんにとって大切な場所でした。この地が政治的に重要であることから、地元の人達が城山しろやまと呼ぶ標高ひょうこう８９ｍの丘陵きゅうりょうには、１６世紀にすでに宇喜多氏うきたしの城砦じょうさいが築きずかれていたとされています。
　慶長けいちょう８(１６０３)年、岡山藩家老おかやまはんかろう・池田長政いけだながまさが下津井城主しもついじょうしゅとなり、近世城郭きんせいじょうかくの形に整備しました。丸本まるもとを中心として両側に二の丸・三の丸を備え、さらにその先に西出丸にしでまる・東出丸ひがしでまるを配するという構造になっています。
　寛永かんえい１６(１６３９)年、一国いっこくにつき一城いちじょうのみとする幕府ばくふの命令により、廃城はいじょうとなってからは、かつての姿を伝えるのは荒あれはてた石垣いしがきだけになっていました。そのため、この地を訪れる人も少なかったのですが、近年きんねん、史跡内しせきないの散策路さんさくろが整備されたことにより、地域の歴史に触れながら美しい瀬戸内せとうちの風景も楽しめる新しい学習の場となっています。