国府こくふとは、律令制下りつりょうせいか、備前国びぜんのくに・備中国びっちゅうのくになどの各国かっこくに置おかれた役所やくしょのことで、その国くにの政治上せいじじょう・軍事上ぐんじじょうの中心ちゅうしんとして、中央ちゅうおうから派遣はけんされた国司こくしという官僚かんりょうが執務しつむを行おこなったところです。
　国司こくしは、国を統治とうちするため行財政ぎょうざいせい・司法しほう・軍事ぐんじをつかさどり、郡ぐんの役人やくにんを指揮しきし徴税ちょうぜいを行おこないました。総社市そうじゃしが含ふくまれる備中国びっちゅうのくには、９郡ぐん９７郷ごうが管轄下かんかつかにあり、国府こくふはそのうちの賀陽かや郡ぐんに置おかれたと記録きろくされています。国府こくふが置おかれた場所ばしょについては定さだかではありませんが、「国府こくふ」「国府西こくふにし」「北国府きたこくふ」などの小字名こあざめいがみられる金井戸かないどの地ちの中でも、「御所ごしょ」の地名ちめいが残のこるこの場所ばしょが、有力ゆうりょくな候補地こうほちになっています。
　そのほか、総社宮そうじゃぐう付近ふきんや、西阿曽にしあぞ周辺しゅうへんに求もとめる見解けんかいもありますが、いずれにせよ備中国府びっちゅうこくふは総社そうじゃ市内しないに存在そんざいしたものと考えられます。