非常ひじょうに精巧せいこうな花莚はなむしろ「錦莞莚きんかんえん」の発明で知られる磯崎いそざき眠亀みんき(１８３４～１９０８)の住宅じゅうたく兼けん作業さぎょう場として、明治めいじ７(１８７４)年に建築けんちくされたものです。保存ほぞん・修理しゅうりを経へて昭和しょうわ６３（１９８８）年に「倉敷市立磯崎眠亀記念きねん館かん」として開館されました。
　基本きほん的てきには、通り土間どまを持もつ町屋まちやですが、いろいろなところで、発明家らしい眠亀のアイデアが見られます。
　最大さいだいの特徴とくちょうは、建物たてものの昇のぼり降おり用に、階段かいだんでなくスロープを配置はいちした点にあります。これにより、物資ぶっしを素早すばやく、楽に運らくび入れたり出したりすることができます。また、土間の吹ふき抜ぬけ部分には滑車かっしゃが作られ、ここから物資を出し入れすることもできるように工夫されています。他ほかにも、玄関げんかんの戸とにはひし形の桟さんが入り、回転と横滑よこすべりによって開閉かいへいする珍めずらしい形式です。二階かいの窓まどには、外に向むけて突つき出す独特どくとくの雨戸がつけられています。
　平成へいせい１２(２０００)年１１月６日、国の文化財登録ざいとうろく原簿げんぼに登録され、登録有形ゆうけい文化財になりました。