２０世紀せいきのはじめ、倉敷くらしきでも繊維せんい産業さんぎょうが急速きゅうそくに発展はってんし、女性せい労働者ろうどうしゃが増ふえるにつれて育児いくじ環境かんきょうや子どもの発達たつへの影響えいきょうが悪化あっかし始めます。このような社会問題もんだいを解決かいけつするために、倉敷さつき会が先頭に立ち、大原孫まご三郎さぶろうや倉敷紡績ぼうせきからの援助えんじょも受けながら、大正たいしょう１４(１９２５)年に「若わか竹の園その」保育園ほいくえんがつくられました。
　園舎しゃの設計せっけいは、教育きょういく者しゃ・建築けんちく家・芸術げいじゅつ家として著名ちょめいな西村伊作いさくが行いました。西村は設計にあたり、バンガロー様式ようしきを採用さいようして、小さな棟とうを複数ふくすう配置はいちする図面を描かきました。結果けっか、森の中に立ち、庭にわに小川の流ながれる「おとぎの国」の夢ゆめのお城しろのような園舎になり、数回の増改築ぞうかいちくを経へても核かくとなる当初の部分がよく残のこっています。
　西村は、与謝野よさの鉄幹てっかん・晶あき子らとの交流こうりゅうを深ふかめる中で「文化学院いん」を創設そうせつし、文部省しょう令れいに縛しばられない自由な教育を行いました。倉敷文化協会きょうかいに招まねかれて講演こうえんを行ったことがきっかけで、倉敷との縁えんが生まれます。そして、倉敷教会や祐安すけやすの洋館群ようかんぐんも手がけることになりました。