このお堂は、天正年間（１５７０年代）、柳本やなぎもと八郎はちろう左衛門ざえもんが、毛利家もうりけの家臣としてこの地方の領主りょうしゅとなり、その曾孫ひまご甚じん左衛門ざえもん正勝まさかつが、寛文かんぶん６（１６６６）年に寄進きしんした、井原市にある最も古い建造物である。
　お堂には、ケヤキ、ツガ、クサマキを使用している。扉や梁はりなどには、花や人物像の彫刻が施され、床はうぐいす張りである。棟札むなふだには大工の名が書かれている。
　善福寺ぜんぷくじは、足利尊氏あしかがたかうじが南北朝なんぼくちょうの争乱そうらんの際に立ち寄ったと伝えられるところで、足利義満あしかがよしみつが応永おうえい３年（１３９６）に祈願所きがんじょとして建てたものである。