この旧きゅう倉敷くらしき天文台てんもんだいスライディングルーフ観測室かんそくしつは、大正たいしょう１５(１９２６)年に原はら澄治すみじ(倉敷市名誉めいよ市民)の資力しりょくと京都きょうと帝国ていこく大学教授きょうじゅ・山本一清いっせいの支援しえんにより、日本で最初さいしょの民間みんかん天文台として建たてられたもので、内部には当時、我わが国では最大級となる英えい国ホルランド社製せいの口径こうけい３２cmの天体望遠ぼうえん鏡きょう(倉敷市指定してい重要じゅうよう文化財ざい)が設置せっちされ、広く一般いっぱんに開放かいほうされてきました。
　また、長年にわたり倉敷天文台長を務つとめられ、生涯しょうがいに彗星すいせい１２個こ、新星１１個を発見した世界的てきな天文家・本田實みのる(倉敷市名誉市民)も、この観測室で星の観測を行いました。
　観測室の規模きぼは、東西４.４ｍ、南北５.３ｍで、１.１ｍのレンガ造づくりの基礎きその上に、木造もくぞうの軸部じくぶが乗のっています。屋根やねは切妻きりづま、鉄板てっぱん張ばりで、室内しつないの歯車はぐるまのついたハンドルを回転させることにより、屋根が破風はふの角度かくどに沿そって東西方向に滑すべり降おりるように開くという非常ひじょうに珍めずらしい構造こうぞうをもっており、科学史し上においても貴重きちょうな建物であることから、平成へいせい１３(２００１)年８月２８日に国の登録とうろく有形ゆうけい文化財に登録されました。
　倉敷市では、本田實生誕せいたん１００年となる平成２５(２０１３)年に、この観測室を公益財団法人こうえきざいだんほうじん倉敷天文台から譲ゆずり受け、創立そうりつ当時に近い姿すがたで、それまであった中央二丁目１９－１０から、ライフパーク倉敷に移築いちく・復元ふくげんを行いました。