倉敷くらしきは、江戸えど初期しょき以来いらい、幕府ばくふが直接ちょくせつ治おさめていました。倉敷川を利用りようして経済けいざい力が高まり、江戸後期には「新禄しんろく」と呼ばれる新しい勢力せいりょくが力を持もち、それまでの「古禄ころく」と呼よばれる勢力に代かわって次第しだいに富とみを蓄たくわえ、社会的てき地位を確立かくりつしてきました。
　こうした新禄層そうの屋敷やしきのうち、旧きゅう大原おおはら家け住宅じゅうたくと大橋おおはし家住宅は、当時とうじの面影おもかげを最もっとも残のこしている町屋まちやとして国の重要じゅうよう文化財ざいに指定していされています。どちらも１８世紀せいき末まつにおける倉敷町屋の代表だいひょう的な形式を示しめしています。
　旧大原家住宅は、寛政かんせい７(１７９５)年に主屋おもやが建たてられ、その後座敷ざしき部分が増築ぞうちくされ、その先には広い庭にわが続つづいています。また、主屋の後ろには蔵くらが建ち並ならび、 防火ぼうかの役目やくめも果はたしています。蔵の壁かべは『なまこ壁』で仕上しあげており、倉敷の町並なみの景観けいかんの特徴とくちょうとなっています。