熊野神社くまのじんじゃの「砂持ち祭りすなもちまつり」は、８月がつに行おこなわれています。祭まつりのいわれは、宝暦ほうれき元年がんねん（１７５１年ねん）に高梁川たかはしがわの洪水こうずいの後あと、疫病えきびょうが大流行だいりゅうこうした時とき、村人むらびとが高梁川たかはしがわの河原かわらから清潔せいけつな砂すなを運はこび、お宮みやを清きよめたことで疫病えきびょうが収おさまったことから始はじまったと伝つたえられています。
　祭まつりは、清潔せいけつな高梁川たかはしがわの砂すなが入はいった、トンボと呼よばれる樽たるを十文字じゅうもんじに結むすびつけたかつぎ棒ぼうにくくり、砂持すなもち唄うたを歌うたいながら、熊野神社くまのじんじゃを目指めざします。地域ちいきの子こどもたちが、その樽神輿たるみこしを担かついだり、ろうそくを入いれた提灯ちょうちんを持もって地域内ちいきないを回まわり、運はこんできた樽たるに入はいった砂すなを熊野神社くまのじんじゃへ運はこび、その砂すなをお宮みやへ供そなえます。清潔せいけつな砂すなを敷地しきちに敷しくことによって、神社じんじゃそのものをお浄きよめする意味いみがあり、参拝さんぱいする人々ひとびとは神社じんじゃに入はいることによって同時どうじにお浄きよめを受うけたことになると言いわれています。
　この砂持ち祭りすなもちまつりは、高梁川たかはしがわの水害すいがいに悩なやまされた地域ちいき（旧東高梁川きゅうひがしたかはしがわ（水島鉄道みずしまてつどうの線路せんろ）と旧西高梁川きゅうにしたかはしがわ（現げん：高梁川たかはしがわ）との間あいだの川内せんだいと呼よばれていた地域ちいき）に広ひろく伝つたわっており、阿智神社あちじんじゃ（倉敷市くらしきし本町ほんまち）、穴場神社あなばじんじゃ（倉敷市中島くらしきしなかじま）などでも行われています。