蛇形祭じゃがたまつりは、新見市哲西町上神代にいみしてっせいちょうかみこうじろの綱之牛王神社つなのごおうじんじゃ一帯いったいで行おこなわれる奇祭きさい（※一風いっぷう変かわったお祭まつり）です。このお祭まつりは、藁わらで作つくった蛇へびを長ながい棒ぼうに引ひっ掛かけてまつるもので、大昔おおむかしの鎌倉時代かまくらじだいから続つづいています。お祭まつりで使つかわれる藁わらの蛇へびは、長さ６ｍメートル、重おもさ約やく３８ｋｇキログラムで、その由来ゆらいとして、次つぎの伝説でんせつが残のこっています。
　「日長谷にっちょうだにの枝谷虫原谷しこくちゅうげんやの奥おくに大蛇だいじゃが棲すんでいて、牛うしや馬うまを食くうたり、作物さくもつを荒あらすので困こまっていた。九品寺くほんじの坊ぼうさんが、大蛇だいじゃの害がいを心配しんぱいし、ある年とし神仏しんぶつの助たすけにより祈いのり殺ころそうと千本せんぼんの椿つばきの逆杭ぎゃくくいを谷一帯たにいったいに打うち込こみ、七々しちしち（４９）日間にちかんお経きょうを唱となえ続つづけた。大蛇だいじゃは堪たまりかねて谷たににはい出でて、社やしろのあるところで息絶いきたえた。九品寺くほんじの僧そうは間まもなく大病たいびょうで死しに、寺てらも廃寺はいじとなった。谷川たにがわの水みずに毒気どくけが含ふくまれ牛馬ぎゅうばや人ひとに害がいを及およぼすようになり、大蛇だいじゃの霊れいを鎮しずめるために社やしろを建たてて、藁わらで作つくった蛇へびをまつって霊れいを鎮しずめた。」
　このお祭まつりは、前年ぜんねんのお祭まつりで奉納ほうのうし、鳥居脇とりいわきに飾かざられているわらの大蛇だいじゃと取とり替かえることで終了しゅうりょうし、新年しんねんの豊作祈願ほうさくきがんや、家内安全かないあんぜんをお祈いのりするものです。