「ひがさき踊おどり（鴨方町かもがたちょう）」は、浅口市鴨方町地域あさくちしかもがたちょうちいきに伝つたわる踊おどりで、浅口市無形民俗文化財あさくちしむけいみんぞくぶんかざいに指定していされています。この踊おどりは、江戸時代えどじだいの貞享じょうきょう３年ねん（１６８６年ねん）７月がつに、旧浅口郡域きゅうあさくちぐんいきを統治とうちしていた武将ぶしょうの細川通董ほそかわみちただの百年忌ひゃくねんき法要ほうようが菩提寺ぼたいじである長川寺ちょうせんじで行おこなわれたことが始はじまりとされています。
　旧きゅう７月がつの炎天えんてんとて、暑熱焦しょねつやくがごとくに踊おどる家臣かしんの子孫しそんたちも日傘ひがさを差さして踊おどった後あとに、踊おどりの型かたに傘かさを取とり入いれて踊おどるようになった。これが「日傘着踊ひがさきおどり」の名なの始はじまりといわれています。番傘ばんがさを差さした音頭取おんどとりが一畳台いちじょうだいの上うえに乗のり、隣となりに囃子手はやしでとし一人ひとりの太鼓打たいこうちが立たち、その周囲しゅういを踊おどり子こが反時計はんとけい（右みぎ）回まわりに踊おどります。太鼓たいこと「カッチリドン．カッチリドン．カッチリ．カッチリ．カッチリドン」の囃子はやしに合あわせて踊おどり、時ときには横笛よこぶえが入はいることもある。元もとは折おり笠後かさごに手てぬぐいをかぶって踊おどるようになり、お招まねきといって横よこに振ふり向むき右手みぎてを挙あげる。また、両手りょうてを挙あげたり、左右相互さゆうそうごに手てを挙あげて前まえに進すすみ、また後退こうたいする。
　一般的いっぱんてきには念仏踊ねんぶつおどりが盆踊ぼんおどりの主流しゅりゅうであるといわれていますが、ここのものは雨乞あまごいの踊おどりで、降雨こううに対たいする農民のうみんたちの必死ひっしの願ねがいが込こめられているものとされており、貴重きちょうです。現在げんざいは、鴨方かもがたひがさき踊おどり保存会ほぞんかいが次世代じせだいへの継承けいしょうをしています。