坂田一男さかたかずおは、明治めいじ２２（１８８９）年ねん、岡山市船頭町おかやましせんどうちょうで医学者・坂田快太郎いがくしゃ　さかたかいたろうの長男ちょうなんとして生うまれました。 　一男かずおは医者いしゃを目指めざして高等学校こうとうがっこうを受験じゅけんしましたが失敗しっぱいし、病気びょうきになりましたが、病気療養中びょうきりょうようちゅうに木炭画もくたんがを学まなび画家を目指がか　　めざすことにしました。 　大正たいしょう１０（１９２１）年ねんにフランスへ行いき、滞在中たいざいちゅうに画家がかのフェルナン・レジェとの出会であいによってキュビスム（立体派りったいは）に触ふれ、このことが一男かずおの画業がぎょうの実質的じっしつてきな出発点しゅっぱつてんになりました。その後あと、昭和しょうわ８（１９３３）年ねんに帰国きこくするまでフランスで活躍かつやくしました。 　帰国後きこくごは玉島市乙島たましましおとしまのアトリエにこもり、キュビスムを基本きほんとしながらも、独特どくとくの抽象絵画ちゅうしょうかいがの制作せいさくを続つづけました。 　戦後せんごにはＡ・Ｇ・Ｏ.（アヴァンギャルド・オカヤマ）（前衛岡山美術協会ぜんえいおかやまびじゅつきょうかい）を結成けっせいしすばらしい業績ぎょうせきを上あげました。 　坂田一男さかたかずおの画業がぎょうが生前認せいぜんみとめられることはありませんでしたが、近年きんねんでは、日本にほんの抽象絵画の先駆者ちゅうしょうかいが　　せんくしゃとして、かつその完成度かんせいどの高たかさが評価ひょうかされて、見直みなおしが進すすんでいます。本格的ほんかくてきにキュビスム（立体派りったいは）を学まなび、厳格げんかくな意味いみでのキュビスム（立体派りったいは）の作品を残さくひん　のこしている作家さっかは、坂田一男さかたかずおをおいて他ほかにはいません。